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その家具と暮らす 荒川家具

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定番

2020/10/07

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当店で家具を買われるお客様は、長く使えてしっかりしたものをと考える方が多いと思う。安いものではないから聞くまでもなく耐久性はあると考えるかもしれない。よく聞かれる質問に、この椅子の生地はどれぐらい持ちますか?座面はへたりませんか?などと聞かれることがある。

そんな質問に今までの経験や知識からお答えするのだが、正直なところ使ってみないとわからないところもある。当店のような小さなお店でも、取り扱う家具はソファでも10種類以上、椅子なら数十種類、ましてその生地となると100種類以上となる。あたらしく取り扱うメーカーなどはなおさらだ。私も当然自宅では当店の家具を使って使い心地を試してはいるが、いくら自分の商売だとは言え、全部の商品を試すわけにはいかない。耐久性などは1、2年では分からない。

以前、某家具店のテレビCMで椅子の座面に重りを何万回と落として耐久性をアピールするものがあったが、実際の人の使い方はそのように均一ではなく、椅子を斜めにして座ったり、その上に立ったり、使う人の体型によってもさまざまだ。

メンテナンス

当店では以前にご購入いただいた家具のメンテナンスや修理のサービスを行っている。実際にお客様宅にお伺いして、10年以上前にご購入いただいたダイニングテーブルのメンテナンスをさせていただいたり、ソファのクッションを調整したりする。

実際に10年以上お使いいただいて、初めてわかることがたくさんある。ソファのへたりは座面前に下がってきているな、この生地は10年使っても切れはないな、この樹種は経年変化するとこんな色に変化するのか、オイル仕上げの家具はマメにオイルを塗られていれば艶が増しているな、汚れ方はこうなんだ、ウレタン仕上げでも細かい傷はやっぱり付くんだな、などなど。お客様が長年ご家族と共にご使用になられ、それを受け止めてきた家具から教えられることがたくさんある。

もともとロングセラーの商品や私がセレクトして新しく販売し始めた商品も、長年販売して経験を積むことで、自信をもってお勧めできる。壊れないものはないし、ヘたらないソファはない、生地は擦り切れたりは必ずする。しかしメンテナンスをしていけば長く使える。

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役割

定番と呼ばれる商品がある。ジーンズのリーバイス501やバーバリーのトレンチコードなどいつの時代もそこにあり、しっかりとした技術で作り続けられているもの。その時代ごとに新たに解釈され、また次の世代に伝え続けられているもの。流行ファッションが重要な世界でも定番があるのだから、家具にもそれがあるべきだと思う。

当店で取り扱う家具はすでに定番となっているものや、これから必ず定番となっていく家具が多いと思う。私もただの流行ではない、10年、20年後も新しい魅力を感じられる家具をセレクトしているつもりだ。無名な商品を定番に育てていくのは時間がかかる。爆発的な売り上げがあるわけでもなく、派手さはないかもしれない。だからと言ってすぐに店頭からなくしてしまうのではなく、その家具が作られる工場のことや作りや素材のすばらしさ、デザインの美しさなどをコツコツと伝えていく。そして今まで多くのお客様にお届けした蓄積や、メンテナンスさせていただいた経験の積み重ねをもとに、また次のお客様に伝えていけたらと思う。そういったことが私どものお店の役割だと感じている。